第三章

T

 ・・・久々だな、この夢・・・

 俺は夢の中で、『これは夢だ』と知覚しながら体験していた。

 でも、条件がいつもと違ってる・・・

 小さい頃から良く見る夢だったから、今日の展開は少し意外で、俺は無駄に注意深くなっていた。
 いつも、目を覚ましたときには必ず俺の躰に『奇跡』が起きていて、ありがたい夢だと思うと同時に、不気味な夢だとも思っていたからだ。

 優しい雨が降っていて、躰を少し濡らしていた。
 雨は降っているのに、空は晴れ渡っている。青い、ただ、只管青く広い空間に、ぽつりと一人でいる俺。
 俺の足元には温い水。
 温い水は、真珠やらダイヤモンドやら、キラキラしたものを浮かべたり沈めたりしながら少しずつ流れてくる。
 凄く遠い所に、見えないような遠くの場所に、誰かが立っているのはわかるんだが、走ってそこへ辿り着こうとしても、いつも辿り着けない。
 何故か、絶対にこの水を流しているのはそいつの意思だ、というのだけはわかっているのだ。
 だがどんな奴なのか、一体誰なのか、男なのか女なのか、ってことはさっぱりだった。
 わかっていることは、俺と同じくらいの歳なんじゃないか、ということだけ。
 小さい頃から少しずつ成長しているのだ、俺と一緒に。
 でも遠い。
 見えない。
 何故だかそのことに凄く焦る自分がいる。
 あそこに行かなきゃいけないといつも全力で走るのに、俺とそいつを結ぶこの水位の低い川は、俺とそいつとの距離をいつも縮めてはくれなかった。
 飛沫を上げて走りながら、どこかで『どうせまた辿り着けない』と諦めていた。
 いつも遠いのだ。
 見えないくせに、存在だけはやけにはっきりしていて、感知能力ゼロの俺が、そいつの為に全力疾走している。
 変だな、躰、軽い・・・
 いつもこの夢を見るときは、大概大怪我したりしている。
 それなのに、今日の俺はこんなにも元気で走り続けている。
 焦ってあっちに走ろうとしているのは、縋ろうとしているから・・・
 苦痛を和らげて欲しいからだ。
 でも、今なんで俺はこんなに急いで走っているんだろう?
 この水を流している奴は、無条件に俺を癒してくれる。
 それはもう本能でわかる。
 だから不気味だと思いながら、俺は縋る為にいつも走るのに。
 今日は・・・別に俺が縋りたい理由もないのに何故俺は走るんだろう。
 自分に問いかけても答えは見つからない。
 走りたいから走っているだけだ。
 今日は躰が軽いから、もしかして、この距離が縮むんじゃないか?
 そんな妙な予感がしていた。

 弾かれたように走るのをやめた。
 足が何故か竦んだ。
 急に閃いた。
 この水が、雨が、真珠が、ダイヤモンドが、何なのか。

 何てこった・・・
 これは・・・
 全部、涙・・・ なのか・・・・・・

 遙か遠くにいるそいつは、矢鱈に嘆いているらしい。
 この温い水は、全てそいつの涙なのだ。
 この、キラキラ光る真珠やらダイヤモンドも・・・

 ・・・てことは何だ、ずっと、ずっと、泣いて泣いて、こんなに川が出来るって程泣いてるってことなのか?
 しかも天から降る温い雨。
 多分これも、そいつの涙だ。

 そう悟るとやはり放っては置けなくなって再び走る。
 息切れはしない。
 足元の水も俺の足を阻むほどのものじゃない。
 今日は辿り着けるんじゃないのか。
 泣かずに済むように、何か俺に出来る事があるんじゃないのか・・・

 もう少し・・・
 もう少しで届く。
 遠くにいたそいつが、俺に気付いたような素振りがあったように見えた。
 眩い。
 何だ、目が眩む・・・!!



「あれ」
 俺は横になって天井に向かって手を伸ばしたカッコで覚醒した。
 外では長閑にちゅんちゅん雀が鳴いている。

 あーー・・・ 朝か。

 カーテンの細い隙間から、目に直射日光が当たって、それで目が覚めたようだ。
「ちっ・・・」
 何か、もう少しで辿り着けそうだったのに、眩しくて起きちまった。くそぅ・・・
 枕元の時計を見たら5時15分。
 残念ながら起きる時間だ。
 太陽さんの所為じゃない。
 伸ばした手を下ろして、とりあえず起きた。
 静かだ・・・
 つーことはやはり今日も俺が一番早く起きたのか。
 ・・・あーあ。飯作るか・・・
 ・・・っと、その前に、奇跡確認しとこう・・・
 スウェットのまま洗面台に行き、少し顎を上げて鏡を見た。

「・・・あれ」

 今回は奇跡は起きてなかった。
 女王に噛み付かれた時に首に出来た『徴』は、相変わらずそこにある。
 ・・・流石にそこまでの奇跡は起こしちゃくれないか・・・
 でも他に怪我って言ったら・・・
 『門破り』の時に砕いた右拳は、2ヶ月も経った今はもう治っちまった。
 謎のタンクトップはどうやら俺の自己治癒能力を格段にアップさせるらしい。
 傷は残ったが、もう痛みもないし、前と同じようにちゃんと動く。
 違和感がないでもないが、甘ったれてはいられないし、戦えないほどじゃないから、結局こっちの医者にも見せていない。
 第一、こっちで俺の傷を医者に見せて、俺が人間じゃないことがばれるのも面倒だし・・・
 まあ、傷は大体いつも通りに死ねない躰が勝手に強引に治してしまった。
 ・・・。
 でも、それだと何で、あの夢見たんだろう。
 大体いつも怪我をしている時に見る夢だったんだが、ここ最近見てなかったのに。
 門破りの無理を通して拳を砕いた時だって、女王に噛まれた時だって見なかったのに。
 あの夢の法則性はイマイチわからないんだが、大概怪我をして死に掛けている時なんかに良く見た覚えがある。
 で、目を覚ましたら俺はいつも楽になっていることに気付くのだ。
 不気味な夢だから覚えていたんだが・・・
 何の変化もないじゃないか。
 ・・・単なるランダムか? 法則。
 そう言えば俺は能力はゼロなんだった。
 そのくせ無駄に生命力だけ強いから、勝手に思い込んでいただけで、あの夢に特別な効果があったわけじゃないのかもしれない。
 それにしても何だか引っかかるな・・・
 何か・・・ 言いかけてたような気がする。遠い所にいた奴が。
 ・・・流石に何を言っていたのかまでは思い出せない。
 ・・・まあいいや。所詮夢だし。
 頭を切り替えて、居間へ向かいテレビの電源を入れてから台所へ向かう。
 テレビを入れたのは、時間把握の為だった。
 無音で支度していると若干寂しいのもあるし、今日の話題に乗り遅れる事もあるから、一通りニュースを耳に入れておくのが日課になっていた。
 どうせ、澄香は起こしても簡単には起きないし、弾は俺と違ってこっちの生活には消極的だから、遅刻しない程度の時間に起きて支度をする。
 必然、部活の朝練に行かねばならん俺が最初に起き、飯炊きをしなくちゃならない。
 飯炊きというと電子ジャーな訳だが、昨日の晩飯当番は澄香だ。
 当然、米研ぎなんかしていないと踏んで、ジャーの中身を開けてみたが、想像通りにカピカピの米が僅かにへばりついているのみ。
 ・・・せめて潤かすとか、しとけよ・・・
 仕方ないので、ジャーから内釜を取り出して流しに持って行き、水を入れて放置しておく。
 どうせ学校から帰ったら俺の仕事になるだろうから。
 ・・・てわけで、米にはありつけないことがわかったので、面倒だしとりあえず今日はトーストでいいよな。
 いや、文句は言わせないが。
 若干むしゃくしゃしたが、こんな生活がもう2ヶ月も続くと俺も諦めモードだった。
 プサイ姐さんの言った通り、生活面、澄香、ホント、酷すぎ。
 まぁそれを言うと俺も酷いっちゃあ酷いんだが、澄香が酷すぎるからつい、『俺がしっかりしなくては!』的な義務感とが働くのかも知れない・・・
 家事を何とかこなそうとしている所帯じみた雰囲気がどこからか醸し出されるらしく、クラスメイトの東城尊(『とうじょうみこと』と読む。ちなみにこの名前で女子だ)に、
「白影君は何となく生活臭がするのよねぇ」
 と、含み笑いで言われたことに実は結構傷ついた。
 トースターに自分の分だけ食パンを突っ込んでおいて、とりあえずサラダとベーコンエッグをテキトーに作っておく。
 あ〜、目玉焼き半熟にしたかったのに、成功率33.3%・・・ 二個失敗したので失敗作はスクランブルなベーコンエッグに変わる。
 こうなると不恰好極まりなく、謎の物体にしか見えないんだが、まあ、喰えりゃいい。味は大して変わらない。舌触り、歯触りは違うだろうが。
 そして失敗作は問答無用で澄香と弾の分に決定。
 二人が起きてきた時に、片方が目玉だったらモヤッとするだろうから。
 目玉のは製作者特権で俺がいただくのだ。
 無駄にセレブなマンションに三人暮らしという、謎の高校生三人生活。
 つか、澄香も学生!?って所に盛大にツッコミを入れなくてはいかんのだが、まあ、見た目だけなら美女なんだろうし(客観的に)、その辺りに触れると逆鱗かもしれないので、特に俺も弾もツッコミは入れてない。
 スカート穿いてる、ってのでもツッコミは入れたくて仕方ないんだが、本人が不本意そうな顔をしているのでそれで充分な気がして黙っていた。かえって、黙っていられる事の方が辛いかもしれないが。
 澄香も学生なのは、俺を追う者達の監視を担うためだ。
 それに、無能力の俺は特殊な結界術にかかってしまったら、檻の中に閉じ込められて出られなくなるし、一応護衛の役割もあるんだろう。
 それにしても妙なのは、あれだけ顔を出して暴れていたにも拘らず、カイの情報によると俺自身の指名手配はかかっていないらしいこと。
 ここが解せない。
 確かに、オメガがきちんと働いてくれたお陰で一人も死なず、死なせずに門破りは成功したわけだが、かといってあれはとんでもないテロ行為ではなかったのかというと、とんでもないテロ行為だった・・・筈なのだ。
 門が破られたという事は、堀を埋められたことと大差ない。
 天聖界には肥沃な土地があるから、異界に何度となく攻められた過去がある。
 その異界の進攻を阻む為の門を内側から破るという事は、それだけ世界が弱化するという意味を持つ筈だった。
 捜索がかからないことの方が不自然なのに・・・
 テレビで連日、異国のテロの報せが入るたびに俺の心の中にモヤッとした澱が沈む。
 やっぱあれは良くなかった・・・
 俺には選択肢がなかった、というのはもう言い訳にしかならない。
 他にも幾らでも方法はあった筈。俺は何も考えずに、ただ、流されてやったに過ぎないのでは・・・
 どちらにしろ、恐らく澄香の狙いは門を破壊する事だったから、俺が『嫌だ』って言っても雇い主なんだし結局実行には移しただろうけど、でも・・・
 澄香は『世界を変えたい』筈だった。
 それを俺の鼻先にぶら下げておいて、あの野蛮なやり方は果たして成果となるんだろうか。
 今はまだ実現途中だから何とも言えないが、俺は疑念を未だに払えずにいた。
 今のところ、とりあえず『ハンター』のオッサンに追っかけられたりすることはあったんだが、どれも俺を『テロの犯人』と見做している雰囲気はなく、『野良』でとりあえず捕まえておこう、という雰囲気だった。
 まあそれは、テキトーにあしらっておいたんだけども。
 澄香は恐らく『追ってきた刺客達と戦わせてスキルアップ』を俺に望んでいる、という事を言っていた気がするんだが、手配がかかっていないんじゃ俺は待ちの姿勢を崩す事も出来ない。
 手配がかかれば金が動く。
 金が動けば人も動くわけで、相当な数の刺客が、しかも相当の手練が来るのではと最初は戦々恐々としていたんだけど(主に弾が)、期待していたほどの凄腕のハンターには会ってない。
 カイからの情報はどうも的を射ていなくて、澄香も聞く度に微妙な表情をしていた。
 ただ、王宮がいろいろと、ゴチャついてきていて、平民街『インティナ』のほうも少しずつ荒れてきているということ。
 相変わらずスラムのレジスには食人鬼がうろついているらしいってこと。
 現女王は未婚で子もなく跡取りもいない。
 だから、女王は今自分の立場を危うくする立場の者もいないわけで、元老院が弱体化している今は女王が権勢を揮っているんだが、悪政と評され民意は反映されずに人心は離れていくばかり・・・だそうだ。
 澄香は何がしたいんだろう。
 放っておいても女王は自滅しそうだが・・・
 ただ、女王の持つ権威だとか力だとかは健在で、税金は少し上がったんだとか。
 ・・・このまま行くと、ホントに良くないことしか続かないわけで、門を破った俺のやった事は本当に『悪事』でしかないんだが、本当に俺はこんな安穏とした生活を送っていていいのだろうか・・・
 トースターがチン、と音を立ててパンを飛び出させた。
 それにマーガリンを塗って口に入れる直前で気付いた。
 ・・・これ、マーガリンじゃない。
 澄香がマーガリンと間違って買って来たガーリックバターだ・・・
 「あ」と思ったけどそのままそれを頬張った。
 香ばしい匂いに長閑な朝を感じて、本当に、俺はこのままぼやぼやとここで過ごしていていいのだろうかと、急に不安になったりする。
 ・・・で。
 唐突に今思い出した。
 夢の中で、遠くで涙を流していた奴が、何と言っていたのか。

 待ってて・・・!! すぐに、すぐに行くから・・・!!

 ・・・?
 俺が寧ろ走って辿り着こうとしていた筈なんだけど・・・
 まぁ、夢の事をそんなにくどくど考えても仕方ないし、俺の脳内妄想だろうし不毛な気がしてきたので、頭を切り替えて支度を整えた。
 今は正直、本当に『普通の人間の生活』しか出来ない。それはそれで刺激的で面白くもあるんだけど。
 とりあえず何を忘れても良いんだが、携帯と財布だけは忘れてはいけない。
 財布は当然なんだけど、携帯はテレパスの使えない俺が弾や澄香とすぐ連絡をとる方法というとこれしかないからだ。
 向こうで出来ない事が端末を使えば出来るというのがこっちの素晴らしい所で、娯楽の多さにも目を瞠る。
 お陰で連日睡眠時間が短くてしょーがない。
 それは向こうにいたときでもそんなに変わらなかったけど。
 昔から俺はショートスリーパーなのだ。
 ほぼ支度を整えて、時計を見たら6時15分。
 そろそろ弾や澄香を起こさなくてはいけない時間だ。
 一応弾の部屋のドアをノックしたら、のろのろとベッドから這い出す気配があった。
「俺、先行くけど、澄香よろしく」
 ドア越しに伝えたら、バタバタと凄い足音をさせて弾がドアを開けて飛び出してきた。
「ちょ、む、無理だよそれはっ!! 伸太郎が起こして!! それから行って!!」
「おはよう弾」
「おはよ・・・って、そうじゃなくって!! 寝起き悪くて最悪なんだから!! 知ってるでしょ!!?? 死にかけたらどうするの!? か弱い僕はフルボッコの刑だよ!!」
「早く寝ろって言っとけ」
「い、今それ言ったってね!!?? てか、澄香より夜更かしの伸太郎のが早起きってこれどういうこと!!?? あー兎に角澄香を起こすのは伸太郎にしかできないのっ、お願いだよ!!」
 弾は起きぬけの筈なのにそうまくし立てて大きな瞳を潤ませて俺に縋ってきた。
 俺は、3歳年上のこの兄のおねだりにはいつも逆らえない。
 どうしたわけか物凄い童顔のお陰で、人間界では俺の弟設定になってしまっているから、このおねだりはある意味立場的に正しいのかもしれない・・・と、思って、少しげんなりした。
 俺は、胸に縋りつく弾を引き剥がしつつ、大きく溜息を吐いてから澄香の住む魔窟へ近付く。
 意を決して明けてみたらまあ、酷い有様で・・・
 学校内では男子だけじゃなく、女子からも熱い視線で見られている隙のない麗人・・・とは同一人物とは思えないほど、だらしない有様で惰眠を貪っている。
 床には昨日着ていた服が脱ぎ捨てたように散らかっている。
 あーあ、制服くっちゃくちゃだ・・・
 どうせ術でピシャッと戻しちまうズルが出来るにせよ、ハンガーにかけるくらいの手間、やっとけよ・・・
 思いながら、手近にあったハンガーに一応かけておいてやる。
 女子の衣類を触ってはイカン、というツッコミは受け付けない。澄香は俺にとって女子カテゴリにいないのだ。
 長い髪はベッドに散らばり、寝相は最悪で片膝はベッドからはみ出している。
 もはやタオルケットは足元にくしゃくしゃに蹴り飛ばされていて、澄香はドアが開いた事で少し気温が下がった事に気付いたのか、盛大に寝返りをうった。
 女のくせにタンクトップとトランクスという格好で寝ている澄香は、あられもなく白い肌がのぞいていて無防備なんだが、色気の『い』の字も感じない。
 顔にはこれまた長い髪が纏わりついており、まるでサ○コだった。
 このまま起き上がられたら怖すぎて俺でも尻込みする。
 頭は枕にかかっていない。
 枕をそっと持ち上げて、部屋の入り口まで戻り、力任せに澄香の頭を狙って枕を投げつけた。
 ぼすん、という鈍い音を背後に聞きながら俺は澄香の部屋を出て何事もなかったように玄関に向かう。
「ちょ・・・ ちょっとっ」
 弾が抗議の声を上げた。
「近付いて声をかけるより、この方が早いって。人間界で暴れたらヤバイってのは、あいつが一番わかってるんだから」
「乱暴だよ」
「起こした奴をフルボッコにする奴は乱暴じゃないのか?」
「いやそれは乱暴だけどさ・・・」
「ほっとけ。遅刻したら自己責任だし・・・ ってほら、起きてきたし」
「きゃああっ!!」
 音もなく起きてきた澄香は、おどろ髪を整えた様子もなく、サダ×よろしくよろよろと近付いてきていて、弾はその姿に怯えて女子のような声を上げて俺の後ろに逃げた。
 澄香は起きてはきたのだが、覚醒には程遠く、どさりと居間のソファに躰を横たえて二度寝に入る。
「・・・ね、寝ちゃったけど・・・」
「ほっとけって。これで遅刻したらホントに澄香が悪いだけだ」
「え、でも」
「俺、そろそろリミット。チャリ通で朝練行くギリギリの時間なんだけど・・・」
「電車使えば良いじゃない」
「嫌だ。くそ暑い夏に何でオッサンどもの吐く息を近くで感じなきゃいけねーの。生理的に無理。弾こそ良く平気だな」
「僕はほら、転移で移動しちゃうから」
「そういうズルしちゃダメだってカイに言われたじゃん」
「だって澄香も殆ど毎日だよ」
「・・・手本が悪いとダメだな〜」
「誰が」
 思わぬ方向から声が上がって、振り返ると☆ダコ澄香が半身を起こしてこちらを恨めしげに睨んでいる。
 しかも髪の隙間から覗くその瞳はあの額の第三の瞳。
「・・・悪い手本だって?」
「お前だよ澄香。つか、それ、怖すぎ。やめろっての」
「起こすのが早い・・・ あと30分寝れる」
「あらまーそいつぁ失礼。俺朝練あっから先行ってるぞー」
「一人になるなよ」
「わーってるよ・・・」
 寝起き最悪のくせに、大事な事は覚えていていちいち釘を刺すところはやはり澄香、という感じだ。
 人間界に来てから、随分澄香の印象が変わって、あっちにいた頃はどこにも隙を見せなかったくせに、こっちに来てから自堕落な部分が良くわかって、逆に親近感を覚えるってのもどうなんだろうと思いつつ。
「んじゃ、後で学校でなー」
「うん、行ってらっしゃい。朝練頑張ってね」
「おう」
 弾が焼いてない食パンを齧りながらパジャマ姿でわざわざ玄関まで見送りに来た。これも最近日課になっている。
 俺って、確か、逃亡者の筈、なんだけどな・・・
 こんなに緊張感なくて良いんだろうか・・・
 家を出てすぐ目の前のエレベータのボタンを押して、待っていたら下から上がってきたエレベータが素通りして1階上で止まった。
 あっ、ひょっとして・・・
 降りてきたエレベータにはやはり、予想通りの先客がいた。
「あら、おはよう白影君・・・ 今日も早いね」
 1階上に住んでいる、俺のクラスの委員長、東城尊だった。
「おはよ・・・ って、東城の方が早いだろ。俺朝練あるから今出ないと間にあわないし」
「それがね、これから昨日の宿題やらなきゃいけないの。チャリ通だから早めに出ないと」
「これから宿題ぃ? 昨日やんなかったのか?」
「昨日は色々忙しくてー。家に遙さんのお兄さんとかお友達とか遊びに来ちゃって応対で宿題どころじゃなかったもん」
「宿題なら電車で座れりゃ出来るんじゃねーか?」
 さっきもこんな話題、弾としてたな、と思い出す。
「無理無理無理無理!! 混んでて絶対座れないもん。それに今の時間の電車って痴漢が凄く多くって。遙さんに心配かけたくないし操守らなきゃいけないから、チャリが一番安全だよ」
「操、ねぇ」
 俺とあんまり差のない返事が返ってきたから、つい苦笑いが零れた。
 このさばさばした人柄からなのか、東城はクラスでも友達が多くて良く目立っている。
 ちなみに、東城の言う『遙さん』とは、東城の同居人の男の名前だ。
 東城は東城で複雑な事情があるんだが、それはお互いさまなので、ある程度のことを聞いてはいるがあまり干渉はしないようにしている。
「あー、何、その含みのある言い方ー。・・・って、クサッ!! 白影君、朝から餃子っ!!??」
「いや・・・ トーストにうっかりガーリックバター塗っちまって。痛ましいから一応食った」
「あー、そうやって女子避けしてるんだ」
「・・・それは気のせいだろー」
「だって、ルックス良し頭脳良し運動神経良しの転校生、目立たない筈ないのに、白影君、女子避けしているようにしか見えないもん。いつも花村さんと一緒だし」
「澄香は別に、彼女じゃないぞ」
「下の名前を呼び捨てで呼ぶのって、仲が良いってことでしょ? 普通、そういう様子見てたら誤解するよ?」
「東城はそう思ってないだろ」
「え? うん・・・ まあ、それは観察してればね〜」
 今度は東城が含みのある笑いをしてこちらを見た。
 丁度その時に、マンションの地下駐車場に着いて、エレベータから降りる。
 地下特有の黴の匂いが満ちていた。それと、少しの排気ガス。空気はあまり良くはない。
 地下駐車場にはびっしり高級車が詰まっている。
 一応澄香も駐車スペースを借りてはいるんだが、うちの駐車スペースには車は一台もない。
 当然、こっちの世界での俺たちは高校生設定なので、車の運転はまだできない。
 代わりにおいてあるのは二台の自転車だった。
 一台は俺の。もう一台は東城のだ。
 東城の家の駐車スペースには当然車があって、自転車を置くスペースがないってことで、うちの余ったスペースを貸しているのだった。
「それに安易に男女関係に結びつけるのはあんまり好きじゃなくって。他の事で妄想したほうが楽しいじゃない」
「・・・妄想」
「性格も明るいし、誰とでも分け隔てなく話せるのに、何となく自分のラインには絶対に人を入れないようなところ、ある気がしててねー。見てて面白いんだー」
「買い被り過ぎだろーそりゃ。俺はどこにでもいる平凡な、普通の高校生さっ」
「あっはっは。うんうん、そういう事にしとこうか」
「・・・」
 あまり目立ってはイカン、という澄香の言葉を思い出して、平凡と普通を強調して言ってみたら、東城にあっさり流された。
 何故、俺は、目立つまいとすればするほど、周囲から浮いてしまうのだろう・・・ 本当に謎だ。
 無難にこなしているだけの心算なのにな・・・ と、澄香に零したら、『嫌味か』と、不機嫌に返されたんだが、何が嫌味なのか・・・ うーん。
 俺の通う私立星稜高校は、片道チャリで40分程かかる。
 車通りの多い道をいつも選んでなるべく一人にならないように通学しているんだが、たまたま鉢合わせした東城と一緒に通学の途につく。
「時間早いから誰にも見つからないと思うけど、白影君と一緒に通学したのをクラスの誰かに見られたら、色々聞かれそう☆」
 東城は明らかに何か面白がっている感じの言い方をした。
「はあ、何を?」
「なに喋ったの?とか、付き合ってるの?とか」
「はあ・・・」
 JKとは俺よりも暇な生物だな、と、呆れと共に感心してみたりする。
「聞いてどうすんだよ、そんなの」
「傾向と対策、練ったりするのよ」
「あー、ネオロマゲーで言う、落し方を探るわけだな」
「うわ、自分が『落される』ってこと、さらっと言ったわね」
「話の流れに乗っただけですが何か?」
「てゆーか先ず、『ネオロマゲー』って単語に食いつくべきだったかしら。何でそんなことまで知っているのよ帰国子女」
 一応、謎の高校生三人生活の上で澄香と弾と俺は『帰国子女』設定になっている。
 親は海外出張に再び出かけていて、家にはいないことになっているのだ。
 あまり、この国に詳しくはないというのを出そうとして、何か不自然があったら『海外生活長かったから!』で押し切ろうという作戦だった。
 まあ、漢字変換が間違っているんだが。正しくは『界外生活』な、訳だが。・・・どうでもいいけど。
 ・・・筈なんだが、色々やる気のあった俺は無駄知識ばかりが頭に入っていて、この言い訳を今のように使えない瞬間が度々あった。
 さて、どう、言い訳しよう・・・
「や、そりゃ、腐女子対策に」
「いやー! 男子から『腐女子』聞くと萎えるからやめてー!! だから、何で『腐女子』とか知ってるのよ帰国子女!」
「一般常識として、耳に入る程度にしか知らんけど」
「いやさ、最近その単語フツーに使われるようになってきたけどさ、意味、わかって言ってる?」
「ゲイとかホモとか801とかBLが好きな、女子だろ。ちなみに腐女子は年齢を重ねると『貴腐人』になって、結婚すると『主腐』になって、子供を生むと『腐母』になるらしいぞ」
「どこで知ったのよほんとに!!?? 恐ろしい子!!」
「ま、情報ならどこにでも転がってるさ、この国は」
「適当なはぐらかし方したわね・・・」
 俺は東城に関してあまり干渉はしないのだが、東城は俺に対する干渉をゆるめない。
 これはこれで辛いんだが、不快に思わせない東城の話術にはまっていて、適当に返すのもまた楽しかった。
「で、腐女子の東城は俺に何を聞きたいわけ?」
「え゛。わ、私は腐女子じゃないよ・・・」
「すげぇ食いついたじゃん」
「そりゃ、美形が美形とイチャついてたら少しは萌えっとするけどー」
「三次元のホモは女子から見てあんまり美しくはないぞ、多分」
「・・・何そのリアルな発言・・・」
「や、ほら、二次元だから萌える、てのはあるだろ」
「あら、そんなことないよー。うちの担任の水渡センセ、両刀って噂よ」
「・・・うわぁ・・・」
 脳裏をあの気障な担任の顔が横切っていった。
 初見から苦手意識があったのは、そういうことを感じ取っていたからだ、とは、あまり思いたくねぇ・・・
「女子にも凄い人気だけど、なんたってあのルックスでしょ。無駄に色っぽいし。有り得なくはないと思わない?」
「男からは男らしくしか見えんけど」
「そうよね、きっとネコじゃないわ、タチよ、水渡センセ」
「・・・」
「腐女子的表現をするなら、『受』じゃなくて『攻』よね」
「・・・どっちにしても一般的な表現じゃないだろ、それ・・・」
「あら、一般常識の範疇内でしょ、このくらい、この国では」
「・・・」
 自分で否定しておいて相当東城も腐女子らしい発言を連発している。
 いかん、この話題でなんでこんなに引っ張ってるんだ。
 他に面白い話題、幾らでもあるだろうに。
 そうは思うんだが、話題の切り替えの糸口が見つからない。
 何故、女子とBLの話題で盛り上がらねばいかんのだ・・・
 いや、盛り上がっているのは東城一人で、俺は軽く流しているだけ・・・の、筈だっ。
「水渡センセ、本人に負けないくらい美形の弟さんがいるらしいの。兄弟仲のことは知らないけど、1回見てみたいなーって。二人暮ししてるらしいの。何かいろいろ妄想膨らむよね」
 東城は、くふっ、と、性質の悪い感じの含み笑いをした。
「水渡のルックスそんなに好きなら自分とどうとかで萌えるのがノーマル女子だろ・・・ それは立派な腐女子嗜好だぞ、東城」
「水渡センセくらいレベル高いと、自分とどうにかなるとかより、そっちで妄想するほうが面白いもん。それに私には、遙さんがいるし」
「あっそ・・・」
 東城の言う『遙さん』は俺も同じ建物なので何度も見かけている。
 彼は彼で、水渡とは違う雰囲気の美形だったし、東城の家に出入りする『遙さん』の友人たちもそれぞれに違うタイプの美形だった気がするから、東城は美形に無駄に免疫が強いと見えた。
 ・・・思考の中で3回も『美形』を繰り返してしまったことに俺は少しげんなりした。
 それに『遙さん』とは実は入籍しているらしく、東城の本当の苗字は『江曽有』(えぞう)というのだそうだ。
 それは本当に一部の人にしか知られていない事実で、俺はひょんなことで知ることになってしまったのだが、知られてから東城はあまり俺に対しては隠すことはしないようになっていた。
 東城の恋愛観はもう殆ど満たされているのだろう、だからそっちの妄想に余念がないのか・・・ ひ、暇人め。
 そう言えばさっき『安易に男女関係を妄想するのは好きじゃない』と言っていたが、裏にはこんな考えがあったのか・・・
 女というのは謎な生き物だな・・・
「反応見てると白影君はどっちかというとノーマルなのね」
「何だその含みのある言い方は」
「ほら、水渡センセと同じに、凄く可愛い弟さんがいて、すごく仲、いいじゃない。だから少し腐兄の素質があるのかと、疑ってたのよ」
「いやーん」
 そんな目で見られていたのか・・・っ。不覚過ぎる。
「でもなんでネオロマゲーとか知ってたのか疑問が残るのよね・・・」
「面白いぞ?」
「やったの??!!」
「浚う程度にだけど」
「・・・逆に疑いが濃くなったわ・・・」
「何だよ、ギャルゲーよりも話が深くて関係性が複雑で面白いって」
「・・・白影君、結構脳内乙女なんじゃないの?」
「不本意な評価・・・」
「だって、私はネオロマ苦手なの。何か恥ずかしくって」
「あー。ははは。それはわかる気はする」
「私がやるゲームは格闘とかアクションとかRPGに偏ってるかなぁ」
「東城のが少年ぽいな」
「『うははは、死ねーーー!!』とか言いながらコントローラー握ってたから、この間遙さんドン引きしててー」
「あーそれ、俺もやってて澄香に『煩い』って怒られた」
「・・・ネオロマで?」
「いや、流石にそれはどうかと・・・ 特撮のDVD見てた」
「あはは! 特撮ねぇ、意外ー」
「『そこだっ、そこで変身だっ!!』とか、『うおーーーロボ出たー!!かっけーーー!!』とか言ってたら、澄香からすっげー嫌そうに『ウザイ』って言われた」
「特撮ねぇ・・・ 特撮」
 東城は何か引っかかったらしく、滑らかに動かしていた口を一瞬止めた。
 そのあと、思い出したように、再び話し出す。話題は『腐女子』からは完全に離れていったが、俺は再び油断できない質問を浴びせられた。
「そう言えばさ、この間、3年のヤンな感じの先輩達が1年の子にカツアゲしてるところに妙な面をつけた奴が割り込んできて、3年追い払ったって噂、知ってる?」
「へぇ・・・?」
 やっば。それ、俺だ・・・
 妙な、面。それは、例の、アレである。
 オーラが見えないと不便なので、オメガがオーラの見える眼鏡を現在製作中らしいんだが、忙しくて時間もなく、なかなか捗っていない為、已む無くあの仮面を使ってしまった。
 しかも、オーラとは関係なく、顔を隠す目的のみで。
 顔を隠す目的に使ったのは久々だったんだけど、こっちであれをやると非常に微妙な反応が返ってくるのだと、あの時に実感した。
 まあ、それならそれでやり方は幾らでも思いついたんだが・・・
 俺だとばれた時点で、全ての効力を失ってしまう。
 何とかしてはぐらかさないと。
「俺その時部活だったから良くは知らんけど」
「・・・日にちも時間も言ってないけど、何アリバイ証明しようとしてんのよ」
 やっば。余計墓穴だった・・・
 はぐらかす糸口を自分で塞いでいる。あ、アホだ、俺・・・
「て言うか、多分、先生含めて全校全員、気付いていると思って親切心で言ってあげてるんだけど」
「ナニッ!!??」
「ちょっと人間離れしてたって話でしょ、その仮面のヒーロー様。仮面つけた上から目隠ししてハンデを相手に与えつつ、挑発した上激昂した3年がカッター振り回したら手刀一発でカッター持ってた手をぶって、腕を捻り上げたって。目隠しして、だよ?」
「・・・それが何故、俺だと?」
「だって、最近、部活荒らしまくってるの、白影君でしょ」
「荒らしてない・・・ どんななのか、知りたくて・・・ ほら、カラテとか、ジュウドウとか、ショウリンジとか・・・ ほら、帰国子女だから珍しくって!!」
 わざとにカタコトな日本語っぽく言ったのだが、東城は首を横に振った。
「全世界展開してるわよ、空手も柔道も。少林寺は知らないけど。いきなり部活見学で主将負かすとかしちゃダメなの、初心者は」
「・・・」
 油断した、とは言えない。
 進学校であってスポーツ校でもある我が校の格闘技がどんなものか、ちょっとやってみたくて・・・
 カラテ部の主将のを負かしたら、他の部の主将も負けた部の主将の面目を保つ為なのか、何人も俺に挑んできたのだ。
 そこには純粋な主将たちの連帯感があったのだが、全部片っ端から負かしてからそのことに気付いてしまって、俺は暫く反省して、格闘系の部活には手を出すまいと誓ったりした経緯があった。
 ただの好奇心だったのに、どうしてそうなるのか・・・
 俺は目立ちたくてやっているんじゃないのに、目立っている理由。
 わかった。好奇心強すぎるんだ。
 今更反省したって、もう遅い・・・
「で、そのカッターな先輩は、うちの学校では札付きでね。先生達も手を焼いてたの。昔で言う、『番長』ね」
「皿屋敷・・・」
「それ、漢字違う。それは『番町』。・・・は、置いといて。見てたって言ってたわよ、水渡センセ」
「な・・・ナニッ!!??」
 意外な名前が出てきた。
 普通、ガキ同士の喧嘩とは言え、刃物を振り回す危ない奴がいたら大人は注意しなくちゃいかんのではないのか。
 あの気障教師、何で傍観してたんだ・・・
 あまつさえ妙な按配に吹聴しやがって・・・ 余計な事を。
 ・・・いや、待てよ・・・?
 見て、いた・・・?
「見てたって、どこで」
「え? そこまでは知らないけど。大方体育館倉庫裏でしょ? リンチの現場なんて」
「・・・」
 確かにその推測は正しいんだが・・・
 あの、三方を壁で囲まれた、閉鎖されたような場所で、一体どこで見てた?
 第一、俺が『視られている』事に気付かなかったことに違和感がある。
 どこから狙撃されるかもわからないから、そういう警戒心を一時たりとも外では怠らないようにしている心算だったのに・・・
 俺は感知は出来ないが、野生の勘みたいなものは外さなかった、筈なのに。
 やっぱ、感覚鈍ってんのかなぁ・・・
 平和生活に慣れてきたのか。
 大きく溜息を吐いた。
「で、そんな、喧嘩にも強い白影君、何で野球部なのよ? しかも補欠捕手」
「ほっとけ」
 あまり変わり映えのしないこの一日が、急展開の始まりとは、俺は全く思っていなかったのだった。

2010/05/17 up

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小声で編集後記のコーナー。
何か凄く難産でした・・・
あれっ、伸太郎ってもう少しチャラかった気が・・・ か、固いな、どうしたらもう少し軽い感じになるのか・・・ あああ。
という感じでとりあえず台詞劇(毎度)。
最近の伸太郎達の状況がどんなものなのか出しておこうとしたら、色々欲張りすぎて、やはり私が迷走しました(苦笑)。
次は雨サイドになります。
ああ、漸く近付きますが・・・ 果たして、いつ、邂逅できるんだかキリトも謎です(遠い目)。