暴力、流血表現アリ。雨が結構凶悪です(汗)
第三章
Y
両刃のナイフの細い切っ先が私の頬を掠める距離まで迫っていた。
・・・大丈夫。この速さならかわせる!
加速して飛び退り、すぐに転移で背後に回る。
羽根を糸に転変させて握る。
ナイフをかわされたトレはすぐに体を返して私に裏拳を入れようとしたけど私はそれを肘で受けて後ろに飛んだ。
痛ったぁ・・・ 攻撃重っ、一撃くらったらやっぱり痛かった。油断はしてないけれどやっぱり強い。
丸腰じゃ勝てないか・・・ 本当は相手に痛みを与えると自分にも返ってきちゃうから、防戦で何とか凌いで糸でぐるぐるに巻いて封じ込んでやろうと思っていたけど・・・ 相手は『十の牙』、そう・・・甘い相手じゃない。
それに私にとっては初仕事、初実戦だ・・・ 闘技場とは空気が違う。
殺気を感じない闘技場での戦いとは違って、これは全身に突き刺さるように感じる殺意。
・・・負けたら私は彼の食糧になる・・・!!
糸の質を変える。凧糸強度だったけどピアノ線に。攻撃力最大で、いざとなったら傷つけるのも辞さない覚悟で行かないと・・・
「くくっ、お前、結構強いな? いい血肉なんだろうな・・・?」
トレの薄い唇が歪に歪む。
瞳の焦点は相変わらず私をはっきりとは捉えていない。まだ、顔をはっきり見られたわけじゃないみたいだ。
ちゃりん。
何かの金属音。
ちゃりん、ちゃりん。
また、何個か金属音がした。
・・・ちょ。まさか・・・ リミッター外して・・・っ!!
【主、上に飛んでください!】
スノウのテレパスに反応して上に跳んだらざわざわと森が騒ぎ始めた。
木の葉が鋭利な刃になってトレを襲う。
細かい傷がつくのも構わずに私に向かってくる気配。
糸を鞭のように撓らせてトレを狙い、左腕に喰いついた糸は容易くトレの腕を引き裂いた。
・・・痛った!!・・・く、ない。
そうだった。魂で痛いと叫ばない『食人鬼』の痛みは、私には伝わってこない・・・
肩透かしを食ったような気分だったけど、それでも自分の攻撃で相手が傷つくことに変わりはないから、私は苦々しく思いながら彼の傷を見る。
左腕は骨ごとすっぱり切れていた。我ながらゾッとする殺傷力・・・ 草の生い茂る森に落ちていた。
トレは右手に持っていたナイフを口で咥え、左腕を拾い上げて私に突然投げつけた。
「!!」
すぐに避けたけど、左腕は地面に落ちる前に私の頬に血飛沫を飛ばした。
生ぬるく滑る液体が頬をゆっくり滴り落ちる。
背筋を伝うざわりとした嫌悪感。
私の頬を滑る血が、重力と無関係に意思を持って私の口に滑り込んでくる。
口の中に広がる鉄の臭い。
「っ、げほっ、けふっ」
不意に鼻から抜けていく血臭に眩暈がした。
唾と一緒に口に入った血を吐き出そうとしたけど躰に潜り込む不快な感触。
「我が主、ザイテの名の元に不浄を身に赦さざらむ。在りし日の刻、報いは報いに、血は血に戻りて滅せよ!」
レア様は、『天使には食人鬼の毒が効かない』とは言っていたけど、それでもあれが口に入っただけでも酷い気分だった。
放っておいても私の躰にこの呪毒が馴染むことはないと高を括れても、気分の問題で浄化の術に頼らざるを得ず、詠唱した呪文はトレにも少なからず影響したらしかった。
トレは怯んだように数歩後退ったけれど、私を狙う目はまだぎらぎらと殺気を孕んでいる。
口の中の血の臭いは消えたけど、まだ、犠牲者の躰が近くにあるから漂う血臭は消えたわけじゃない。
無言だけどお互いに油断を赦さない緊迫した空気。
動くことも引くことも出来ないまま、睨み合いを続ける消耗の時間。
隙なんてどこにもない。
・・・スノウの姿を確認できない・・・ スノウは地に潜んで機を伺っている。
森全体がさわさわと騒いでいる気配がする・・・ 大丈夫、これは私への加護・・・
証拠に、木々は揺れながら、鋭い枝を全てトレに向けている。
私が傷つけた覚えのない傷がトレの躰に数箇所あった。
それも、見ているうちにあっという間に塞がっていく。
明の自己治癒も流石にあそこまで早くない・・・ 何て凄い生命力。
【主! 足元!!】
スノウのテレパスを受けてすぐ、右足をぐっと掴まれた違和感があった。
チリッと刺すような痛みが走る。
その隙に、トレが口に咥えたナイフを再び右手に持って私に向かってくる。
足元を見ている余裕なんてない。
鋭いナイフの切っ先が私の首元を捉えそうに掠めていくのを横目で見ながらバック転でかわし、着地してすぐ左を軸足に、反動を利用して違和感のある右足を振り抜いた。
私の右足首を掴んでいたのはトレの千切れた左腕。
それが、トレの左のこめかみに当たる寸前にトレの右手に捉えられ、右足を取られた私は左足でも地を蹴って、全体重を乗せた踵を千切れたトレの左手の甲に叩き込んだ。
ぐしゃり、と嫌な感覚がした。
掴まれた右足が自由にはなったけど、砕けた骨の感触がしっかりと残っている。
息が上がるほど消耗はしていないのに、相手を傷つけた動揺で心臓が激しく鳴る。
「・・・お前変な奴だな・・・」
トレが私を伺うように低い声で言った。
「それだけの殺傷能力がありながら、防御するだけで攻めてこないのは何故だ。自ら飛び込んできたくせに・・・」
「・・・私は貴方を殺したいわけじゃない。捕らえに来ただけです」
「なるほど? それがハンターの務めだからか?」
そう言いながら、トレは千切れた左腕を、切断されて肉が顕になった所にくっつけた。
あっという間にトレの左腕は元通りになって、具合を確認するように手首を振っていた。
骨の砕けた感触があったのに、そんな形跡は殆ど残ってない。
・・・お腹減って、能力落ちてるかと思えば、そうでもないみたいだ・・・ さっき、『食事』はしてるから・・・
・・・なんていうロケットパンチ・・・ず、ずるい・・・っ。
そして、左手の指先を少し舐めて、ぴたり、と空気が止まったかのように見えた後、トレは自分の指先を荒い吐息でしゃぶり始めた。
・・・っ、な、何・・・? 何なの・・・?
何故だかわからないけど酷い生理的嫌悪感があった。
放って置いたら彼は自分の指先までも食べてしまいそうだった。
あまりの異様さと不気味さに、私は一歩後退る。
「待て」
鋭く彼は私を制した。
「お前天使だな・・・? 口にするのは初めてだがこの血、極上の味がした・・・ そうか、それで血を体に入れても馴染まないのか・・・」
「・・・!!!」
さっき右足首を掴んだトレの左腕の爪が食い込んで、私の足首を傷つけていたその血から・・・!!
血の味なんかで見破られるなんてことを少しも思ってもいなかった私は、その言葉に怯んで足を止める。
つぅ、と、足首に結ばれた血の珠が滴って靴下に吸い込まれる感触に、ざわりとまた背中を這う不快感。
外気も森の中だけあって寒く、私も悪寒を感じているのに、首筋を伝ってくるのは私の汗だ。
ちゃりん、ちゃりん・・・ また、複数のリミッターが外れる音。
「もし仮に、本当に私が天使だとしたらどうするんですか?」
「・・・殺しはしないさ。永遠に糧として生かされ続ける・・・」
・・・ゾッとするような低い声だった。
「シアドのようにな!!」
「!!!」
トレは今物凄いことを口走った。
でも私は戦闘中である事を忘れたわけでもなく、彼が鋭利なナイフを持っていることを忘れたわけではなかったのに。
ほんの一瞬で彼は私の眼前に迫り、飛び退る私よりも速くナイフから斬撃を繰り出した。
ナイフのリーチはわかっていたのに。
防御壁の構築も出来ていた筈なのに。
躰を庇おうとクロスして前に出していた左腕の手首から肘までを簡単にナイフが引き裂いた。
鮮烈な痛みは私のものだった。
痛みと共に、激しく血飛沫を散らしながら、私は転移で森の奥に移動した。
消していた筈の気配なのに、トレは私を簡単に見つけて再び眼前に迫る。
・・・どうして・・・!!
リミッターを外した所為でもあるとしても、こんなに飛躍的に速くなるなんて・・・!!
さっきのナイフにしてもそうだった。
ナイフは当たっていない筈なのに、ナイフの軌跡だけで皮膚が引き裂かれた。
剣圧だけで斬ったって事・・・? 防御壁は構築してあったのに?
考えていてもわかる筈がない。
トレの剣戟を避けるたび、躰のどこかが引き裂かれた。
右頬、背中、左脇腹、右太腿・・・ 致命傷ではないけれど、全てが血を噴いている。
彼の唾液の付いたナイフが皮膚を掠る度、厭なものが血管を這いずっては消える。
・・・本当に呪毒は私に効かないのはわかったけど、それでも力が減っていくのがわかる。
私の血が降りかかる度、ナイフにこびり付いた血を啜る度にトレの速度と攻撃力が上がっている気がした。
・・・!!
それだと、私は自分で自分の力を引き出せてないのに相手を強化している事になる。
・・・り、理不尽すぎる!!
私の血が、私を通り越して相手を強化するって・・・何なのよそれ!!
【スノウ、援護お願い!!】
【わかっております!! 森に力を借りて溜められたので何とか大技も・・・!】
【オッケ! ・・・絶対許さないんだから、女子の躰に沢山傷つけてくれちゃって・・・!】
【酷い傷です・・・ 大丈夫ですか・・・?】
【心頭滅却してるから平気! ・・・後で多分倒れるけど】
【・・・嫌な予告やめてください。・・・また来ますよ!!】
【わかってる!】
『戦闘は奇麗事じゃない』
そんなことわかっているけど私はどこかで甘えていて、相手を傷つける自分がとても嫌だった。
でも奇麗事を言っているわけにはいかない。
まだ何も出来ないでいる私にだって、何か一つくらい出来る事があるはず・・・!!
考えながら戦える状況ではないけれど、それでも何とか打開策を見つけないと・・・!!
確か、私の羽根は、パワーチャージ無しのティリルに凄い衝撃を与えてた。
さっきのトレのあまりにも脆く千切れた左腕の事もそうだ。
血肉は好物みたいだけど、それなら羽根はどうだろう・・・
そう思って躰から切り離して糸を針にする。
足元に血溜まりが出来てる。
それを確認しながら私はまた転移でトレから離れ、スノウが私の移動と共に血溜まりの上に私の偶像を造り上げていた。
土の偶像を斬りつけたトレは、そのまま土人形に拘束され、スノウは近くに生えていた蔓をトレに巻きつけて捕縛しようとしたけど、トレの躰からどす黒いオーラが立ち昇って、腐るように蔓は掻き消えた。
【お嬢ちゃん、上や!】
咄嗟のテレパス受信。
敵じゃない気配・・・ いつから!?
そう思う暇もなく再び私に迫り来る刃を避けるため、木を蹴って宙に飛ぶ。
木よりも高く飛んだ瞬間、私の背後で閃光が瞬いた。
バシャッ。
カメラのシャッターみたいな音がした。
バシャッ。バシャッ。
また、同じような音と閃光。
「う・・・っ!!」
トレが怯んで光から顔を背けた。
その隙を見逃さず、私はトレの肩口辺りを狙って針を投げつけた。
「ぐぁっ!!」
私の後ろに人がいる。けど、トレの後ろにも誰かがいて、その誰かも気砲を二発ほどトレに食らわせていた。
トレの躰が折れ曲がる。
そのまま、きりもみするように森の中に落ちていく・・・
「スノウ、おいで!」
呼びかけるとスノウは森から私の胸元に飛び込んできた。
ヒトカタを保てなくなって、小さくなった仔狼の姿。
【すみません大技と言っても『地力』が少なくてあの程度しか・・・】
「ううん、充分、ごめんね無理させて」
その時、森の中から微かな、ほんの微かな機械音がした。
携帯のバイブ音・・・?
いけない、トレの張った結界は人には作用しなかったのか、誰か人間が入り込んでいたのか・・・!
私は自分で結界を張らなかったことを嫌というほど後悔した。
そんな余裕はなかったなんて言い逃れは出来ない。
けど、その音に導かれるように、トレの気配が動いたのがわかった。
「逃げて!!」
人から隠れていなきゃいけないのに、そこにいるのが人だとしても何だとしても、これ以上誰かが傷つくのは嫌で咄嗟に叫んでしまった。
気配はいるのかいないのかさえわからなくて、転移で飛ぼうとしたら、
「下がれ!」
と鋭く叫ばれ、トレに向かって3発ほどその人は衝撃波を放った。
ドンッドンッドンッ!
全部どこかに鈍くあたった音・・・ 森が三回弾むように動いた。
そのまま、トレの張った結界が消え、トレの気配も霞むように消え去った。
【・・・逃がしちゃいました・・・】
「・・・やっぱ無策だめだね。危なく餌になっちゃうとこだった」
【そうですよ!! もう・・・ そんな傷だらけになって・・・!!】
抱き上げているスノウが私の右頬の傷を舐めた。
「痛った!!」
【消毒ですよ消毒!】
「・・・ねえスノウ・・・ 私の血ってそんなに美味しいのかな・・・?」
【・・・血の味しかしませんけど】
「そうだよね・・・」
考えなきゃいけないことがますます増えてしまった。
「すみません、助かりました・・・ トラオさん、ハイデルさん・・・」
振り返って、私を助けてくれた二人を振り返る。
二人の姿を見ると、二人の顔からすっと血の気が失せ、動揺がこっちにまで伝染してきた。
「お嬢ちゃん酷い怪我やで・・・!!」
「あ・・・ 命には別状ないです大丈夫ですよ」
安心させようとして笑おうとしたら頬の傷が引き攣れて開いたらしく、とろり、と血が溢れ出した。
【主、笑うところじゃありませんよ・・・】
早速スノウに舐められて、ピリッと痛みが走る。
空中に浮きながら下を見たら赤い光が目に入った。沢山のパトカーが森に走ってくる。
「俺が通報した」
ハイデルさんが言った。
「あとはヒトに任せよう。お嬢ちゃんは兎に角止血だ」
「せやで。一旦戻って立て直そ」
「あ・・・ どうしよ、いっぱい血ぃ垂らしちゃった」
【主の痕跡は残さないように命じてあります】
「証拠隠滅しとるがな・・・ あかんのやで」
トラオさんは苦笑いした。
「まぁ、間に合ってよかったわ」
「・・・」
私は口を噤む。
ハイデルさんもトラオさんも、どうして私を尾行てたんだろう。
それに、一応感覚研ぎ澄ましてたつもりなのに、全然気付かなかった・・・
「・・・押し付けがましいことを言いたいわけじゃないが、気付いてないようだから言う」
ハイデルさんが私に近付いてきた。
「あのニュースを見てからお嬢ちゃんの様子がおかしくなったのは鈍感じゃなければ誰でも気付く。昼から、火が消えたようにお嬢ちゃんが自分の雰囲気を変えたことに自覚はないんだろう?」
「え・・・」
「せや。死地に行って戻ってけぇへんかったダチの旅立つ前と、同じ顔してた。まだ二十も生きてない若さであの覚悟を見せられたらほっとけへんわ」
【それでもって、トラオさんが一方的に私にテレパスを送ってきたので、主を差し置きまして救いを求めました。あれ以上やっていたら主が危ない】
「・・・え!!! スノウもグル!!??」
【結果オーライ、でしたっけ?】
「せや、それで合ってる」
トラオさんはくつくつと笑った。
「す、スノウ・・・ どんだけ私、信用ないの」
【違います。・・・心配なんです。貴方が他人の痛みを感じるたびに、自分を責めているのが私には伝わらないと思っていますか? 私は貴方の僕なのですよ・・・】
「ん・・・ ごめん・・・」
「あー、まー、ここはユキちゃんのファインプレーってことで大目に見たって。兎に角戻ろ。わいもせなあかんことあるし」
「そうだな。それに話を聞いていたら『ハンター』に標的を絞るかも知れない。仲間に言って網を一旦消そう。逆に辿られるとまずい」
「・・・何か色々すみません・・・ 皆さんの仕事の邪魔まで・・・」
「いや、遅かれ早かれ手を打たなあかんかったと思うで。わいも流石にあんなの出てくるとは思てへんかったから正直引いたけど」
「お嬢ちゃんが行動に出てくれたことで救われてる命もあると思えばいい。後悔するなら前を見るべきだ。これからどうするのか考えよう」
「・・・はい」
ここまで深く関わり合いになることはないとどこか突き放して考えていた私は、ここまで親身になってくれることで胸がいっぱいになりそうだった。
そして促されるまま、私達は『街村荘』に帰ってきたのだった。
「あらお帰り、ハイデル、トラオ・・・ って、ギャアアアアアア!! な、何よその血塗れ茶坊主はっ!! そんなに怪我させちゃ駄目でしょうが!!」
「ちま・・・ ちゃうで。これはお嬢ちゃんやで」
「ええええええ!! あ、アンタそんなボロボロになって・・・!!」
「あはは、返り討ちに遭っちゃいましたー」
「厭ぁぁぁぁあああ笑わないで傷開いて赤い血がーー!!」
自分で思っていたより酷い姿だったらしい私を見て、泰司さんは透け感のあるネグリジェ姿で半狂乱していた。
逆にその様子に私は冷静さを取り戻した感じだったんだけど。
ああ、結構深い傷がいっぱい・・・ そう言えばちょっと寒くなってきた。
これは確実に血が足りないや・・・
「あー・・・ 今すぐ止血と治療しちゃいますね。スノウ、後の事お願い」
言って、抱いていたスノウを降ろし、急いで自分の治療を始める。
背中からまた糸を引っ張り出して、一番酷そうな左腕にくるくると巻きつけて引き絞る。
糸は羽根だから、癒しの力はかなり強い。
羽根を媒介に皮膚再生、接着・・・ 一応女子だから綺麗に創(きず)は消しておきたい・・・
糸が吸い込まれるように皮膚に浸透していくと、創は血の軌跡を残しつつも跡形もなく消えた。
この一番酷い創がこの程度なら全部治せそう、大丈夫・・・
そう思いながら自分の治癒を続けていたら、ハイデルさんが溜息混じりに
「凄いな・・・」
と呟いているのが聞こえた。
創は8箇所もあったけど何とか生えてる羽根の分で事足りた。
けど・・・
私の記憶はそこでぷつりと途切れた。
ぐらついた私の躰を支えてくれたのはハイデルさんだった。
「おい、お嬢ちゃんどうした・・・ って、おい!! ・・・気を失ってるぞ・・・」
「何やて!!??」
【主は治癒力が尽きると寝ちまうんだよ。今のオレには運べないから部屋まで運んで欲しいんだが】
「・・・お前、お嬢ちゃんがいないところでは俺様なのな・・・」
【いや、親愛の情を込めてのタメ口なんだが、獣人を見下すような器の小さい男とは思っていなかった】
「・・・お前一言多い」
「せやけど何で玄関で治したんやろな? 部屋戻ってからの方が手がかからんやろ」
【血でここを穢したくなかったんだろう。ここはお前たちが大切にしている巣なのだろう? そこに自分が来る事も本当は凄く気後れしていたようだった。お前たちはくだらない気遣いと思うだろうが主はそういう人だ。理解してくれ】
「・・・ホントにいい子なんだか我儘なんだか無自覚なんだか、手のかかる子ねぇ。アタシが部屋に運んであげるわ」
「えぇ、何か全力で止めたい気分なんやけど」
「アンタ達まともにこの子に触れるの?」
「・・・」
「・・・」
【喉鳴ったぞ二人とも】
「ほらねぇ。アタシに任せなさい」
そう言って、ひょいと私を泰司さんは軽々とお姫様抱っこをしたそうだ。
力尽きた私は、こてん、と泰司さんの胸に頭を寄せる。
それを、ハイデルさんとトラオさんが苦々しそうな顔で見ていたと後でスノウが言っていた。
「・・・デラ姐」
「ナニヨ」
「何故お嬢ちゃんに対して『泰司』と名乗ったか聞いていいか?」
「・・・」
「やっぱりな、変だと思ったんだよ・・・」
「お嬢ちゃんに対しては男として接するってことか・・・ せやったら余計なんかモヤッとするわ・・・」
【主に不届きをするようなら噛むからな】
「アラ。うち、ペット禁止なのよ」
【ペットじゃねぇ!!】
・・・とまあ、そんなやりとりがあったらしいけどそれを知るのは数時間後のことだった。
+++☆★☆★☆+++
「ごっついモンがでけたでこれは・・・ こんなの初めて見るわ」
何だか厭な気配を感じて目を覚ましたら、自室で寝かされていて、枕元に仔狼のスノウが丸くなって眠っていた。私の右横にハイデルさんとトラオさんがいる。
紙をトラオさんがハイデルさんに見せているところみたいだった。
ん・・・ あ、私・・・ どうしたんだっけ・・・?
ガーゼケットをかけられて眠っていた事を漸く自覚して、時計を見たら午前4時を過ぎた所だった。
そんなに寝てないけど・・・ うん、多分少し回復したかな・・・ まだ血が足りなくて、頭を動かすとぐわんぐわんと目が回る感じがする。
ううう・・・ 肉食べたい・・・
また食欲で目を覚ましてのそりと起き上がったら、トラオさんが私に気付いた。
「加減どうや?」
「お腹空きました・・・」
「そっちかい!! ちょい待っとき、確か魚肉ソーセージあったわ」
「サラミもあったぞ」
「せやったか。ほな取ってくるわ。あと、風呂入ると回復するゆうてたから沸かしておいたで」
「ありがとうございます」
トラオさんはそのまま部屋を出て行った。
持っていた紙を小さな円卓に置いて。
「・・・?」
その紙が気になって見てみたら、ゾッとするような怖気が走った。
「・・・これ・・・!!」
「ああ・・・ トラオが捉えたあいつの姿だ。トラオはこういう特殊能力があってな」
それは写真だった。
ただ、普通に映る写真じゃない。
姿を捉えてはいるけれど、オーラも写し出している。
そして、紙からも立ち昇るように瘴気が噴き出している様に見えた。
まるで、写し出されたのに生きているような写真。
触れることにさえ躊躇いを覚えるおぞましい姿・・・
さっきの厭な気配はこれだったんだ・・・
「本物よりも本質に迫る写真を撮るんだよ、あいつは」
「凄いですね・・・」
「そのくせ、ブラックリストはあのままやったけどな」
トラオさんが両手に食べ物を持って戻ってきた。
「トラオお前それ宴会の残りのつまみじゃないか・・・」
「肉っぽいもの全部もってきたで。とりあえずお嬢ちゃん血ィ足らんやろと思て」
「あ、嬉しいです、食べます〜」
遠慮なく魚肉ソーセージにパクついたら二人ともとても微妙な表情をした。
「?」
「・・・美味いか?」
「? はい」
「そうか・・・」
そう言ってハイデルさんは視線を逸らし、トラオさんは円卓に置いた写真を再び手に取る。
「・・・2割くらいか、削れたの」
真顔に戻って写真を見る。
「? 削れた?」
「わいの封じ込めは『魂』なんや。精神攻撃ともいうけども。多分ちぃとは効いとる筈や」
「ただ、これがどう作用するか、なんだよな」
「せやな・・・ 多分また腹減らすで。そう長ない時間で」
「・・・!!」
「逆に焚きつけたみたいになってもうたな・・・ これ見ればこいつのコンディションも丸見えなんや。そう我慢でけへんと思うで」
言ったトラオさんは、でも余裕のないこの状況下で口の端を少し上に上げた。
「もしかしたら巧く誘い出せるかも知れへんで。先ずは作戦会議やな」
「・・・大捕り物になりそうだな・・・」
ハイデルさんも少し笑う。
「え・・・ えっと」
今、全く笑える状況にないと思うんだけどえっと、何でそんなに楽しそうなのですか?
「今日中、しかも日中にケリつけよ。夜はあかんわ。力が・・・ オーラが濃くなる」
「そうだな」
「ユキちゃん起きるの待とか。位置すぐわかるんやったな」
「そう言えば何ですぐ近くに森があるのにあそこで休まなかったんだろ・・・」
「お嬢ちゃんの傍にいたかったんだろうさ」
「・・・」
「責任を感じるより少し周りを信じるのもええんちゃうか。少なくともユキちゃんはお嬢ちゃんにベタ惚れやで」
「・・・はい。・・・て言うかいつの間にかユキちゃんて・・・」
「今そこ突っ込むんかい」
トラオさんが苦笑したのに釣られて、私も少しだけ笑ってしまった。
私は本当にいつも周りが見えてない。
「・・・教えてください、私に協力してくれる理由と、誰がどんな風に関わっているのか」
「「・・・」」
トラオさんとハイデルさんの表情が少し変わった。
「お嬢ちゃんが背負っているのが何か興味がある、では駄目か?」
「興味だけなら出来れば巻き込みたくありません。私は彼等に免疫がありますけど貴方達はきっと・・・」
「複数形か・・・ アレ一体やないんやな」
「・・・」
あう。巻き込みたくないのに自白してどうする私。
表情を硬くした私にトラオさんがふっと笑みを零す。
「・・・いや、卑怯な言い方やったな。それにわいはユキちゃん唆したことの他にもう一個フェアじゃない事もやっとる」
「・・・何ですか?」
「まあ、ええか。手の内全部見せとくわ。そのほうがお嬢ちゃんも話しやすいやろ」
そう言って、トラオさんは胸のポケットからまた写真を取り出して私に見せた。
そこに写っているのは・・・
私。
「!!」
さっきの戦闘中の写真だ。
まだ創を負ってはいないときの・・・
そしてあの時の私は何のプロテクトもしていなかった。
写真に写りこんだ私の背には、申し訳程度に小さく羽根が写りこんでいた。
「隠し撮りしたこと先ずは謝っとく。魂封じは使てへんし、この写真しか今はない。データは消した」
「・・・」
「おかしいとは思っていた。最初から。精霊の長を従える資格など、そうそうあるものじゃないからな」
ハイデルさんは私を追い詰めるように言った。
顔をあげてハイデルさんを見たら、ハイデルさんは困ったように人差し指で顎を掻く。
そして写真を指差した。
「・・・ああ、別に強請ろうとしてるわけじゃない。ただ、お嬢ちゃんが言えない理由がここにあるならもう俺たちは知ってしまった、というだけのことだ。俺とトラオのほかにはこの写真は誰も見ていない」
「せやし、わいもずっと気にはなってたんやあの猟奇殺人。わいも網使わんで感知系やから、夜にごっつい厭な気配がウロウロしてたんはずっと知っとってん。けどアレは巧い事日中は網にかからんで気配消しよるし、・・・まあ、今日まで怪我しとったから様子見してたんや。わいはカメラ持つ左手首バッキリやられとったし」
言って、トラオさんは意味ありげに笑う。
その格好がとても様になっていた。
「治療の恩も返せてへん」
「だからお嬢ちゃんが俺達を巻き込んだことを負い目に感じることもないし、お嬢ちゃんの秘密を誰かに知らせたりするようなことはないと誓おう。『ハンター』の誇りにかけて」
「巧い事ゆうたけど、抜け駆けしたい気もあったくせに」
「・・・お前が言うな」
トラオさんとハイデルさんは、何か意味ありげにお互いを見て苦笑いしている。
・・・?
でも、凄く真摯に接してくれている事だけはわかった。
スノウは人の本質を嗅ぎ分けれるみたいだから、スノウが頼ったのならとても頼もしいことなんだろう。
私は・・・ 改めて自分がチームプレイをしたことがないのを実感して、寂しい気持ちを思い出したと同時に、今、凄く嬉しく思ってもいた。
・・・なら。
絶対にヘマは出来ない。
「・・・本当に、ありがとうございます・・・」
「あー、何で今そないに泣きそうになるん。カタつけてとりあえずまた宴会しよ。鍋がええな今度」
「・・・初夏だが」
「あ。せやった・・・ んじゃ庭で焼肉しよ焼肉」
「わー、肉食べますー」
「お嬢ちゃん肉好きだな・・・」
そうやって少しの間、成功してからの話をしていたけど、私とトラオさんは同時に違和感を感じてお互いに顔を見た。
「・・・今の・・・」
「・・・思念波やな。感知系『ハンター』に挨拶程度の」
『ハンター』は、狩りを始めるときに同士討ちを避ける為、狩りの邪魔をさせない為に一度周囲に思念波で合図を送ったりする事がある。
でも今の刹那的な感じは・・・ 何か変だ。
「・・・アカン。もう復活されたわ・・・」
トラオさんが、トレを写した写真を手に取る。
そこから、さっきとは比べ物にならないほど禍々しい気配が火柱のように立ち昇っていた。
「・・・馬鹿な。日光には弱いんじゃなかったのか」
「日光に弱いんはデフォや。・・・けど・・・ 腹が満ちた。・・・ってことやろ・・・ 同族で・・・」
「・・・!!」
「デラ姐失敗したか・・・!」
ハイデルさんが腰を浮かしかけたのと、玄関でガタガタッと鳴ったのは同時だった。
「ど、どういうことですか? 泰司さんが一体・・・!?」
・・・! でも、そう言えば少し鈍く『痛み』を感じる・・・!!
気も漫ろな二人は私を置いて玄関に走る。私も勢いで後を追った。
玄関には、泰司さんが倒れていた。
「おい!!」
「デラ姐!!」
ハイデルさんが泰司さんを抱き起こしたら、うっすらと泰司さんは瞼を開ける。
見たところ切り傷はない。・・・毒は受けてはいないみたいだけど、左の肘から先が変な方に曲がっていた。
気配を浚ってみても食人鬼の穢れは受けてないことはわかって、そのことに少し安堵する。
さっきはネグリジェだったのに、今はシャツと綿パンの、普通の男の人の格好をしている。
「アラ・・・ ヤダハイデル、アンタこの角度で見るといい男・・・」
「馬鹿か!! ・・・何があった?」
「・・・とりあえずうちの住人は皆無事よ。それで、念のためセレブにも警戒しとけって言いに行ったら・・・ ホンボシがいたわ」
「セレブ・・・!! まさか奴等が殺られたのか!!??」
「・・・喰われた。アレは即死だった・・・ 一発殴ろうとしたら気砲喰らっちゃった」
「アンタがか・・・」
「・・・うふふ、でもアンタの胸で死ねるなら本望・・・!!」
泰司さんが「くふふ」と笑うと、ハイデルさんは簡単に泰司さんを振り落とした。
「イッテェなクソが!」
「はい、死亡フラグ不成立やで。命に別状ないやろそのテンション」
「・・・いや平気だけどよ。アレは・・・ ホントに速く手を打たないとマズイ」
泰司さんの口調が変わる。
え。えっと、キャラについていけてないのはひょっとして、私だけですか?!
「そやな・・・ さっきの思念波、ノイズかかっとった。一瞬だけ救いを求めようとしたんやろな・・・」
「・・・じゃあ、今あのセレブマンションにいるってことですよね」
「・・・絶賛食事中やろな」
「・・・!!」
「お嬢ちゃん、早まるな。夕方までまだ時間はある。無策で行ってもさっきの二の舞だ」
「さっきよりはっきりした結果になるで。捕まったら終わりなんやろ」
「・・・」
「決まりだ。全員で援護させる」
泰司さんが立ち上がった。
「・・・待って下さい。泰司さん、ハイデルさん、トラオさんにお願いします」
「そんな場合じゃ・・・」
「そんな場合じゃないから、私も手段を選ばない事にします。・・・トラオさん、写真で魂を封じ込めるのに彼・・・トレならあと何回必要ですか?」
「3回で2割程度やったから、あと12回は必要やな・・・ 多く見て15」
「・・・ここに、もし『天使の羽根』があったら、どの程度まで回数減らせますか?」
「・・・!!」
三人の息が一瞬止まった。
「・・・あるのか?」
泰司さんが私に聞く。
「・・・今は・・・私のは回復しないと少ないですけど・・・ でもそのかわり、レア様から賜った羽根があります」
「・・・あめ、アンタ・・・」
「・・・ごめんなさい、事情は話せないのですけど・・・ 出来る限りのことをしましょう。どうですか、トラオさん?」
「頼もしいわ。3回までに減らしたる。・・・ただ、カメラに組んだ術式換えなアカンから、カスタマイズに時間かかるわ・・・ 6時間くれんか」
「・・・長いじゃないか!」
「阿呆。カメラはデリケートやねんど。繊細な作業で精密機械を開いて術まで組み上げて元に戻すのにどんだけ集中力要る思てんねん。そのかわり絶対極めたるわ」
「じゃあ、・・・トラオさんお願いします。泰司さん、腕の治療しましょう」
「あぁ、いいよ。あめ、こんなのはすぐ治せるんだろ? じゃあ今じゃなくてもいい」
「・・・駄目です。泰司さん、意識を閉じて私に『痛み』を感じさせないようにさっきから無理しているでしょう。微かにですが『すっげー痛い』伝わってくるんです」
「・・・でも今はあめが消耗してるじゃないか・・・」
「うふふ、さっきも言いましたよね。自家発電は辛いですけど代謝上げるの手伝うだけなら私はそんなに消耗しないんです。だから・・・お願いです」
「お願いするのは逆なんだがな・・・ はぁ、参ったな、俺も抜かなきゃいけなくなるのか・・・」
「? 泰司さん邪念あるんですか?」
「「あるある」」
「・・・おめーら覚えとけよ」
治癒に入る前、泰司さんが苦笑してトラオさんとハイデルさんを睨んだ。
・・・あと六時間で出来る事・・・
スノウをまず休ませて少しでも力を戻してもらわないと。
トラオさんにレア様の羽根を渡してカメラ改造をお願いして。
ハイデルさんと泰司さんは逃がさない為のバックアップをお願いして。
出来る限りトレの体液には触れないように、触れたらトレと同じになってしまうことを重ねて言っておかなきゃ・・・
・・・私は兎に角お風呂入ってご飯食べて、体力回復してから囮の役目を・・・
今なら、トレは私を狙う筈。
彼らは確か、『天使』を狙っている・・・
・・・シアド様が、あのシアド様が・・・
生かされながら、彼らの血肉になっているという。
・・・レア様。私は・・・ それでも彼らを何とかしたいと思うのは、傲慢なんでしょうか・・・?
お風呂に入りながら、どうやったら巧く運べるかを考えていた。
ギルドを調べれば、人間界の拠点の場所は大体絞り込めてしまうのだけど、独特の体制で『ハンター』以外には情報が漏れることはないはずだった。
それに、飢えていたのなら間違いなく極上お肉らしい『明モドキ』を感知する筈なのに、トレは大雑把な場所の絞込みは出来ているのに本人にはまだ当たっていない。
つまり、トレは『大規模感知』に関しては鈍感らしいという事。
・・・じゃあ、何故・・・ セレブな『ハンター』をピンポイントで昨日の今日で襲撃できたの・・・?
何か厭な予感があった。
もしかしたら『ハンター』に、情報を流す何かが潜んでいるんじゃ・・・?
食人鬼は仲間を増やす。
もし、『ハンター』の中にそれがいたら・・・!!
・・・だめ。不確定要素で勝手に疑心暗鬼になんかなったらだめ・・・!!
兎に角、スノウが反応しない以上、今私達の近くには食人鬼はいないという保障がある。
短期決戦で何とかトレを捕らえて封じ込めないと、今度の標的は私かあの『明モドキ』か、さもなくば人間界にいる全ての『ハンター』、ひいては関係のない人間にまで毒牙が及ぶ事になる。
『これは仕方のない引き算』
レア様の言葉を思い出してお風呂のお湯の中に頭まで浸かる。
・・・トレには私が食糧になることに対する負い目など一切なくて、何の躊躇いもなく人を沢山殺しているのに・・・
あの、無機質な瞳の中にあったのは狂気ばかりだった。
同じ言葉を使うのに、私の声は届かないんだと思ったのに・・・
頭の中の片隅で、少しでも足し算が出来る方法があるならと考えている自分がいた。
・・・トレは、どうして女王に従って『十の牙』になったんだろう・・・
私は、お湯の中でぼんやりとそんな事を考えていた。
2011/08/05 up
Web Clap
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小言で言い訳。
雨さん実は以外に凶暴なんですね(笑)。
まあ、闘技場で軒並み屈強なファイターを倒してきているので本人が思っている以上に実は強かったりします。
そのくせ、自分が与えた痛みを相手から懺悔のように受け取ってしまうので、結構面倒な性分なんだと思います。
雨の複雑な事情を理解して頂けてるかが少し心配です・・・ 文章難しい・・・